2023年3月4日土曜日

令和4年度 第49回 卒業式

式辞

 冬の寒さが残りつつも、やわらかな日差しの中に春の訪れを感じるこの佳き日に、学校法人浪速学院 浪速中学校・第49回卒業式を挙行できますことは、卒業生はもとより、在校生、教職員にとりましても大きな慶びであります。


 まず、ご来賓として浪速高等学校・浪速中学校PTA会長様をはじめ、PTA役員の皆様にご臨席を賜り、生徒たちの門出に華を添えて戴きましたこと、壇上からではございますが篤くお礼申し上げます。

 保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。思えば3年前、コロナの感染が拡大し始め、予定していた入学式が一旦延期、そして中止に。さらには長期に亘る一斉休校など、先の見通せない不安な中学校生活のスタートでありました。まして中学生は心も身体も大きく成長する多感な時期で、ご心配の種が尽きなかったのではないでしょうか。それだけに、本日、義務教育を無事に終え、立派に成長された姿を目の前にして、感慨もいかばかりかと拝察申し上げます。

 この3年間、教職員一丸となり、「生徒たちの安全、そして学びの保障」ということを第一に教育活動に取り組んで参りましたが、至らない点も多々あったかと思います。どうかご容赦をお願い申し上げますとともに、本校にお寄せいただきました暖かいご支援、ご理解、ご協力に対し心より感謝申し上げます。

 128名の生徒の皆さん、卒業おめでとう。中学校3年間という大切な青春時代、その多くの時間をコロナ禍によって翻弄された毎日でしたが、皆さんはそれらの日々を努力と我慢によって乗り越え、今、卒業の瞬間を迎えています。かけがえのない仲間とともに、全力で駆け抜けた中学校生活でしたね。今、皆さんが手にしている卒業証書には、様々な思い出が刻み込まれていることと思います。クラブ活動では、勝利を目指し、チームの仲間とともに練習に打ち込んだこと。決して平坦な道ばかりではなく、躓いたり、悩んだりしたこともあったことと思いますが、その一つ一つが中学校時代の貴重な経験として、将来、生きてくることでしょう。

 クラスが一つにまとまっていくと言われる「合唱コンクール」や、全員で縄文杉を目指す「屋久島修学旅行」といった中学校生活のハイライトとも言える行事が実施できなかったことは残念であり、皆さんには辛い思いをさせました。しかしながら、縮小版で実施した体育大会や浪速祭では、皆さんは、今まで通り実施できないことを嘆いたり、不満を言ったりするのではなく、形を変えてでも実施できるということに感謝する心を学びました。中国地方に行き先を変更した修学旅行でしたが、皆さんは友人との絆を深め、多くのことを学んでくれました。

 皆さんは、コロナ禍の日々を過ごす中で「何気ない普通」ということが、どれほど尊いものであったかに気が付いたのではないでしょうか。


  さて、浪速中学校は神社神道を建学の礎として、大正12年に開校された旧制浪速中学校をその前身として歴史を刻んできました。ご両親をはじめお世話になった多くの方々への感謝の気持ちを持つことが、まもなく開校100周年を迎える浪速の伝統を引き継ぐことにつながります。そして皆さんが歩み出す新しい100年は、変化の激しい世紀になることは間違いありません。AIが人間の知能を上回る日も、遠からず到来すると言われています。しかし皆さん、そのような時代だからこそ、「人を尊敬すること」「人を思いやること」「感謝の心を持つこと」などAIにはない、人間にしかない能力、即ち人間としての魅力を磨いていってください。


 もう一つ大切なものは、やはりしっかりとした基礎学力です。皆さんがこれから出くわす様々な場面において、何か物事を判断したり、選んだりしなければならない時、中学校そして高等学校で学ぶ全てのことがらが、その判断や選択の基準として生きてきます。

  中学、高校で身につけた基礎学力が、皆さんの生活を作る、即ち人生を作る財産になります。毎日の努力の積み重ねが、将来の皆さんを形作っていくのです。このことは、木村理事長・学院長先生が節目節目の講話で述べられている「今を一生懸命に生きる」「今日という日を大切に生きる」という神社神道の教えに通じることでもあります。このことをしっかりと自覚し、高校に進んで欲しいと思います。

 最後に皆さんに一つの言葉を贈りたいと思います。それは「志を立てる」ということです。自分は何のために勉強するのか、自分は何を成し遂げたいのか。そのことを何度も自分に問いかけてください。そうすれば、自分はこうなりたいんだという、自分の姿に気付く時が必ずやって来ます。そしてその瞬間、つまり「志を立てた瞬間」には、皆さんの志はもうすでに叶い始めています。 何故なら、志を立てた人間は、無意識のうちにそれが叶う方向に向かって努力を始めているからです。「こうなりたい」という強い思いを持ちなさい。

 名残は尽きませんが、いよいよお別れの時です。3年間、皆さんと思い出を共有できたこと、とても嬉しく思います。現実をしっかりと受け止め、前に進もうとする皆さんの姿は輝いていました。高校に進学して何か困った時、相談相手が必要な時は、遠慮なく皆さんの母校、浪速中学校を訪ねてください。

 皆さんの輝かしい未来に夢を託し、以上、式辞といたします。