2021年5月20日木曜日

志を立てる

  本校は道徳教育を教育の柱の一つとし、平成31年の道徳正式教科化に備え、約10年前に道徳教育推進委員会を組織し、著名な大学の先生のご指導も仰ぎながら教員研修を積んで参りました。その結果として、道徳教育全国大会で教育実践の成果を発表させて頂いたり、また教員を目指す大学生の指導に当たる教員も生まれております。道徳教育は心の教育。多様な価値観に触れ、豊かな人間力を育みます。いじめの未然防止にもつながっています。

 今週の1年生道徳のテーマは「志~幼少の記憶より~」幼い頃、しばしば父親に連れられてきた“吉田松陰の松下村塾”の近くを、部活のトレーニング中に偶然通ったことをきっかけに「志」について考える教材となっています。

 さて、吉田松陰が洋学を学んだ佐久間象山の師である、江戸末期の学者佐藤一斎が著した「言志四録」という書物の中にも「志」について触れた箇所がありますので紹介します。

 『強い志を立てそれを達成しようとすれば、たとえ薪を運び、水を運んでも学びに通じる。まして書物を読み物事の道理を知ろうと努力するなら目的を達せないはずはない。しかし、志が立っていなければ、終日書物を読んでも無駄である。何よりも志を立てることが大切である』

 勉学にはまず志を立てることが重要で、志を立てるにあたっては心に芽生えた決意が出発点になるのです。

 勉強に身が入らない。かといってクラブに打ち込むでもない。気が付けばゲーム三昧。そんな生徒はいないでしょうか。あらためて本校に入学した目的、将来の目標そしてその先にあるビジョンを明確にし、それに向かって自分の意志でしっかり進んで行ってください。

 緊急事態宣言が繰り返され期間も長期に及んでいますが、コロナ禍のために目標までなくしてはいけません。

 さて最後に、この陸上競技部の主人公は、松下村塾での幼少の記憶を思い出し「気が付いたら自然と足が動いていた。早く練習に戻ろうという衝動に駆られた」とあります。伊勢での道徳特別授業で「志を立てると遺伝子がONになる」という話があったことを思い出しました。潜在意識は無意識の内に志が実現する方向を向いているのです。