2020年5月22日金曜日

吹奏楽コンクール

 先週早々に、吹奏楽コンクールの中止が発表されました。浪速高等学校・中学校吹奏楽部は昨年まで地区大会8年連続金賞を受賞し、特に昨年度は大阪府大会でも金賞を戴き、念願の関西大会出場まであと一歩のところまで来ていただけに、予想していたこととは言え、生徒たちの動揺と落胆は察するに余りあるものでした。


 確かに吹奏楽部の活動はコンクールが中心で、実際コンクールに向けての厳しい練習を通じて、音楽的なレベルアップも図れました。メンタル的にもたくましく育ってくれたと感じます。挫折も含めた様々な経験が人生の糧になることは間違いないと思います。
 ただ、コンクールだけが目標だったのでしょうか。
 老人ホームで入所者の方々が涙を流しながら聴いてくださったこと、演奏に合わせて「パプリカ」を元気いっぱい歌ってくれた保育園の園児たちの笑顔、初めて楽器を手にし、音が鳴った時の嬉しさや達成感、どれもがコンクールとは違った感動があり吹奏楽をやっていてよかったと心から感じたことと思います。間違いなく生徒たちの人間的成長につながるものでした。


 私自身、昨年の本校吹奏楽部の演奏で最も印象に残っているのは、コンクールではなく、11月に実施された「天皇陛下御即位奉祝・御堂筋提灯行列」でした。受験間近の中3生・高3生も全員参加で約2時間のパレード。終着点近く難波高島屋あたりで、(疲労のピークであったであろう生徒たちには申し訳ないですが)「この素晴らしい演奏をずっと聴いていたい」と強く感じました。それくらいの感動がありました。

 楽器が演奏できるということは、一生の財産になります。人との出会い、音楽作品との出会い・・・人生を豊かにしてくれる出会いに満ち溢れています。幸い大阪には約100団体の市民吹奏楽団があります。学校を卒業した後も吹奏楽を続けることができます。あらためてコンクールに挑戦するもよし、地域活動に重点を置くもよし、演奏の場はいくらでもあります。本校の卒業生が、あちらこちらの吹奏楽団で活躍してくれていたら、どんなに素晴らしいことでしょうか。

 部訓としてきた「心に響く音楽」を忘れることなく、側に音楽のある豊かな人生を送ってほしいと願います。